障害年金の診断書に有効期限はありますか
目次
1.はじめに
今回のブログでは、障害年金の診断書の枚数、有効期限と、いつの診断書が必要になるのかについて、1.障害認定日による請求、2.事後重症の請求、3.初診日が20歳前のケースに分けて説明いたします。
障害年金は、障害の原因となった病気で初めて病院にかかった日から1年6カ月たつと請求できるようになります。
初めて病院にかかった日のことを「初診日」、初診日から1年6カ月たった日のことを「障害認定日」と言います。(障害認定日は1年6カ月前でも認められるケースがありますが、今回の説明では省略します。)
今回のブログでは、現症日(または現症の日)という言葉が出てきます。現症日とは、診断書に必ず記載される日付で、診断書に書かれた症状がいつのものかを示します。
注)更新時の診断書について知りたい方は、こちらのブログを参照ください。
2.障害認定日による請求のケース
障害認定日による請求のケースは、(1)障害認定日から1年以内に障害年金を請求するケースと、(2)1年過ぎてから請求する2つのケースに分かれます。
(1)障害認定日から1年以内に請求するとき
障害認定日の時点で障害の程度が重く、障害認定日から1年以内に請求するのが「障害認定日による請求」の基本ケースです。
診断書は、
① 必要な診断書は1枚です。 ② 障害認定日から3カ月以内の現症日のものです。 ③ 有効期限はありません。 |
受給権は障害認定日に発生し、支給は障害認定日の翌月分から行われます。
(図)障害認定日から1年以内とは
(2)障害認定日から1年を過ぎてから請求するとき
障害認定日の時点で障害の程度は重かったけれど、障害認定日から1年を過ぎて請求するケースです。
障害年金の制度を知らなくて1年以内に請求できなかった方も、障害認定日の時点で障害の程度が重ければ請求が可能です。
この方法は、障害認定日の時点にさかのぼって請求することができます。
ただし、さかのぼれる期間は請求の時点から最大5年間です。
診断書は、
● 必要な枚数 ・障害認定日時点の診断書、および請求日時点の診断書の2枚が必要。 <障害認定日時点の診断書> ● 現症日 障害認定日から3カ月以内。 ● 有効期限 障害認定日時点の診断書に、有効期限はありません。 <請求日時点の診断書> ● 現症日 請求日以前3カ月以内の現症日のもの。 ● 有効期限 現症日から3カ月以内に年金請求書の提出をしなければなりません。 |
受給権は障害認定日に発生し、支給は障害認定日の翌月分から行われます。
(図)障害認定日による請求の診断書
3.事後重症請求のケース
上記の1と2は、障害認定日の時点で障害の程度が重かった場合です。
事後重症請求は、障害認定日の時点では軽かったが、その後重くなって、65歳の誕生日の前々日までに請求する方法です。
障害認定日の頃に通院していなくて、障害認定日時点の診断書が入手できない場合も、この方法を利用します。
診断書は、
① 請求日時点の診断書が1枚必要です。 ② 請求日時点の診断書は、請求日以前3カ月以内の現症日のもの。 ③ 有効期限は、現症日から3カ月以内に年金の請求を行わなければならない。 |
受給権は請求日に発生し、支給は請求日の翌月分から行われます。
4.初診日が20歳前のケース
初診日が20歳前のときのケースでは、障害認定日時点の診断書の現症日が障害認定日前後3カ月以内となります。
また、下記に記載したように、障害認定日も、初診日から1年6カ月たった日が20歳前か後かで、どこになるかが変わります。
上記の障害認定日による請求のケース、事後重症請求のケース、それぞれの障害認定日時点の診断書を下記のケースで読み替えてご準備ください。
(1)初診日から1年6カ月たった日が20歳に達した日以前のとき
初診日から1年6カ月たった日が20歳に達した日以前のとき、20歳に達した日(20歳の誕生日の前日)を障害認定日と置き換えて考えます。
障害認定日時点の診断書は、
① 20歳の達した時点の診断書が1枚必要です。 ② 現症日は、20歳に達した日から前後3カ月以内です。 ③ 有効期限はありません。 |
受給権は20歳に達した日に発生し、支給は20歳に達した日の翌月分から行われます。
(図)初診日が20歳前(初診日~1年6月が20歳前)
・20歳に達した日 令和3年10月20日
・前後3カ月 令和3年7月21日~令和4年1月19日
(2)初診日から1年6カ月たった日が20歳に達した日より後のとき
初診日から1年6カ月たった日が障害認定日になります。その前後3カ月以内の診断書が障害認定日時点の診断書となります。
障害認定日時点の診断書は、
① 障害認定日時点の診断書が1枚必要です。 ② 現症日は、障害認定日から前後3カ月以内です。 ③ 有効期限はありません。 |
受給権は障害認定日に発生し、支給は障害認定日の翌月分から行われます
(図)初診日が20歳前(初診日~1年6月が20歳後)
・20歳の誕生日が 令和3年10月21日
・20歳に達した日 令和3年10月20日
・初診日から1年6カ月たった日 令和4年6月20日
・前後3カ月 令和4年3月21日~令和4年9月19日
5.診断書枚数、現症日、有効期限マトメ
ケース | 必要な診断書 |
1.障害認定日による請求 のケース (1)障害認定日から1年以内に請求するとき | 【障害認定日時点の診断書】 ① 枚数:1枚 ② 現症日:障害認定日から3カ月以内 ③ 有効期限:なし |
(2)障害認定日から1年過ぎてから請求するとき(障害認定日にさかのぼって請求するケース ) | 下記、各1枚で計2枚 【障害認定日時点の診断書】 ① 枚数:1枚 ② 現症日:障害認定日から3カ月以内 ③ 有効期限:なし 【請求日時点の診断書】 ① 枚数:1枚 ② 現症日:請求日以前3カ月以内 ③ 有効期限:現症日から3カ月以内に年金請求書を提出 |
3.事後重症請求のケース | 【請求日時点の診断書】 ① 枚数:1枚 ② 現症日:請求日以前3カ月以内 ③ 有効期限:現症日から3カ月以内に年金請求書を提出 |
初診日が20歳前のときは、上記表の障害認定日時点の診断書を下記表で読み替えてください。
初診日が20歳前のときの障害認定日時点の診断書
1.初診日から1年6月たった日が 20歳に達した日以前のとき | 【障害認定日時点の診断書】 ① 枚数:1枚 ② 現症日:20歳に達した日から前後3カ月 ③ 有効期限:なし |
2.初診日から1年6月たった日が 20歳に達した日より後のとき | 【障害認定日時点の診断書】 ① 枚数:1枚 ② 現症日:障害認定日から前後3カ月以内 ③ 有効期限:なし |
障害年金の請求方法については、下記のブログの障害年金の請求方法の項も参考にご覧ください