ブログ

Blog

障害手当金について

1.はじめに

障害手当金は、初診日に厚生年金保険に加入していた方が、初診日から5年以内に治った場合、治った日に障害の程度が3級よりも軽い、障害等級表に定められた障害の程度(注1)にあるときに支給される一時金です。

支給される条件の詳細は 2.支給される対象者 でご確認ください。

障害年金の1級や2級、3級は、”年金”として支給される金額が年間で決定し、障害の程度が該当している間、何年も支給されますが、障害手当金は”一時金”として、1度だけ支給されるものです。

図 障害厚生年金と障害基礎年金
図 障害厚生年金と障害基礎年金

2.支給される対象者(次の①から④のすべてを満たす方です)

① 初診日に厚生年金保険に加入していた方
② 初診日から5年以内に障害の原因となった病気やけがが治った方
③ 病気やけがが治った日に、障害等級表で定められた障害の程度(注1)にある方
④ 保険料納付要件を満たしている方

ただし、治った日につぎのいずれかに該当している場合は支給されません。

⑤ 厚生年金、国民年金、共済年金、共済年金を受け取っている方
⑥ 労働基準法または労働者災害補償保険法等により障害補償を受け取っている方
⑦ 船員保険法による障害を支払事由とする給付を受け取っている方

※⑤の年金は、老齢、障害、遺族を問いません。

障害年金の受給権者で、最後に1級~3級の障害の状態に該当しなくなってから3年たっている場合は、障害手当金の支給対象になります。

なお、治った日から5年以内に請求しないといけないので注意が必要です。

(注1) 障害等級表に定められた障害の程度

厚生年金保険法施行令別表第2〔障害手当金〕

障害の程度
1.両眼の視力が 0.6 以下に減じたもの
2.1眼の視力が 0.1 以下に減じたもの
3.両眼のまぶたに著しい欠損を残すもの
4.両眼による視野が 2 分の1以上欠損したもの
  又は両眼の視野が 10 度以内のもの
5.両眼の調節機能及び輻輳機能に著しい障害を残すもの
6.1耳の聴力が、耳殻に接しなければ大声による話を解することが
  できない程度に減じたもの
7.そしゃく又は言語の機能に障害を残すもの
8.鼻を欠損し、その機能に著しい障害を残すもの
9.脊柱の機能に障害を残すもの
10.一上肢の 3 大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの
11.一下肢の 3 大関節のうち、1 関節に著しい機能障害を残すもの
12.一下肢を 3 センチメートル以上短縮したもの
13.長管状骨に著しい転位変形を残すもの
14.一上肢の 2 指以上を失ったもの
15.一上肢のひとさし指を失ったもの
16.一上肢の 3 指以上の用を廃したもの
17.ひとさし指を併せ一上肢の 2 指の用を廃したもの
18.一上肢のおや指の用を廃したもの
19.一下肢の第1趾又は他の 4 趾以上を失ったもの
20.一下肢の 5 趾の用を廃したもの
21.前各号に掲げるもののほか、身体の機能に、労働が制限を受けるか、
  又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの
22.精神又は神経系統に、労働が制限を受けるか、
  又は労働に制限を加えることを必要とする程度の障害を残すもの

3.障害手当金の金額

○ 障害厚生年金の金額(3級の障害厚生年金の額)の2倍

障害厚生年金の金額(3級の障害厚生年金の額)の2倍の額が、障害厚生年金の最低保証額の2倍の額よりも少ないときは、障害厚生年金の最低保証額の2倍の金額が、障害手当金の最低保障額として支給されます。

○ 障害手当金の最低保障額   

1,166,00円 (令和4年度)(障害厚生年金の最低保証額の2倍の金額)

4.障害手当金を受給した後に障害の程度が悪化したとき

障害手当金を受給した後で、万が一、障害の程度が重くなった場合は障害手当金の支給決定が取り消され、障害厚生年金の受給権を取得することになります。

ただし、支給決定が取り消されるため、支給を受けた障害手当金は返納が必要となります。

すでに支給を受けてから5年経っている場合には、返納は不要です。

また後から発生した他の障害と合わせて障害年金を請求することも可能です。

障害手当金受給後に事後重症請求した際の、支給済の障害手当金の取り扱いに対する疑義照会回答を下記に抜粋して記載させていただきます。

参考)日本年金機構 疑義照会回答(平成23年12月公表分)
【質 問】
 障害手当金の支給要件の規定については、厚生年金保険法第55条において「…初診日において被保険者であった者が、当該初診日から起算して5年を経過する日までの間におけるその傷病の治った日において…障害の状態にある場合に支給する。」とあります。
 65歳に達する日の前日までの間において、障害手当金支給決定の対象となった傷病により障害等級1~3級に該当する程度の障害の状態に至ったことから、厚生年金保険法第47条の2による事後重症請求をした場合における支給済みの障害手当金の取扱いについてご教示願います。
【回 答】
 障害手当金の受給要件として「傷病が治った」ことが要件の一つとされているため、65歳に達する日の前日までの間に障害手当金支給決定の対象となった傷病が障害等級1~3級に該当する程度の障害の状態に該当することは、本来ありえません。
 しかし、将来において現実に障害等級1~3級に該当する程度の障害の状態に該当することとなった場合、障害手当金支給決定時の「傷病が治った」ことの認定が誤りであったこととなり、支給決定の誤りとなります。
 よって、将来において、厚生年金保険法第47条の2による事後重症の受給要件を満たせば、障害厚生年金の受給権を取得しますので、障害手当金の支給決定を取消してください。また、会計法第31条の規定を適用のうえ、過払金の返納を求めてください。

最近のブログもあわせてご覧ください

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ