傷病手当金の支給期間(1年6カ月)の取り扱いが変わります。
下記ブログでお伝えしていた通り、傷病手当金の取り扱いが令和4年1月1日から変更になっています。
1.変更の概要
令和4年1月1日より健康保険の傷病手当金の支給期間(1年6カ月)の取り扱いが変わります。
従来、傷病手当金は、支給が開始された日から1年6カ月の期間支給されていましたが、令和4年1月1日からは、支給を受けた期間が通算して1年6カ月になるまで支給されるように変わります。
なお、変更の対象となる傷病手当金は、令和2年7月2日以降に支給が開始された傷病手当金からです。
下の令和2年7月2日に支給開始された傷病手当金の図で、無支給519日となっている日数は、令和4年1月1日以降も消化されるまで支給されるようになります。(同一のケガや病気が原因のとき)。
2.傷病手当金の受給要件の確認
最初に傷病手当金の受給要件について確認しておきます。
同一のケガや病気が原因で次の要件を満たしたとき、傷病手当金は支給されます。
① 業務外の事由による病気やケガのため療養中であること ② 労務不能であること ③ 3日間連続して仕事を休み(待期期間が完了)、4日目以降の休んだ日があること ④ 給料の一部または全部が支払われないこと |
※ 待期期間に公休日、有給休暇も含みます。
※ 有給休暇は傷病手当金の支給の対象外です。
3.支給期間(1年6カ月)の取り扱いは、どう変わりますか
<従 来>
従来の支給期間は、支給が開始された日から1年6カ月の期間で、その期間内に支給を受けることができました。
たとえば、こんなケースがあります。
令和2年7月1日から支給が開始、3カ月で体調が良くなり復職、以降は傷病手当金の支給が停止されましたが、同一のケガや病気が原因で休むことなく1年6カ月の期間満了(令和3年12月31日)を迎えるケースです。
このケースでは、最大1年6カ月傷病手当金がもらえるところ、3カ月分の支給で終わりますが、1年6カ月の期間満了以降に、同一のケガや病気が原因で、症状が悪化して休むことになっても支給を受けることはできませんでした。
<変更後>
令和4年1月1日からは、支給開始から、支給を受けた期間を「通算して1年6カ月」になるまで支給を受けることができるようになります。(ただし支給開始日が令和2年7月2日以降のとき)
たとえば、令和2年7月2日から令和4年1月1日までに、支給を受けたのが6カ月分だった場合、残りの1年分は、令和4年1月1日を過ぎても支給を受けることができます。残りの日数を使い切るまで、支給をうけることができるようになります。
それでは、「通算して1年6カ月」とは何日分なのでしょうか、また、残り何日支給を受けられるかはどのように計算するのでしょうか。次の4項で説明いたします。
4.変更後の支給期間の「通算して1年6カ月」とは、何日分ですか
次のケースで、「通算して1年6カ月」の日数、また、残りの支給日数を知りたいとき、どのように計算して求めるのか、確認してみましょう。
(具体例) ◇ 令和4年3月1日から3月3日まで、連続して3日間休み待期期間が完成 ◇ 令和4年3月4日から支給開始 ◇ 支給をすでに受けた期間 ①令和4年3月4日 ~4月10日労務不能(支給期間:38日間) ②令和4年4月11日~4月20日労務不能(支給期間:10日間) ③令和4年5月11日~6月10日労務不能(支給期間:31日間) |
まず、通算して1年6カ月が何日になるか求めるところからスタートです。
(1)通算して1年6カ月の支給期間の日数の求め方
= 支給開始日(令和4年3月4日)から1年6カ月満了の日 ― 支給開始日 + 1
= 令和5年9月3日 ― 令和4年3月4日 + 1
= 549日
(2)すでに支給された日数
= ①38日 + ②10日 + ③31日
= 79日
(3)残りの支給日数
= 549日 ― 79日 = 470日
この残りの支給日数は実際に支給されたときに引かれて、なくなるまで支給されます。
<注意>
資格喪失後の継続給付(退職後に傷病手当金を受けている場合)は、一時的に労務可能となった時点で終了します。治癒 しているか 否か を問わず、同一の疾病等により再び労務不能となっても傷病手当金の支給は行われませんので、ご注意ください。
出典:厚生労働省 リーフレット「令和4年1月1日から健康 保険の傷病手当金の支給期間が通算化 されます」
出典:厚生労働省保険局保険課 令和3年11月10日付 事務連絡
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