ブログ

Blog

初診日はいつになるのか

初診日とは

1.はじめに

今回のブログでは、こんなとき、初診日はいつになるのかについて、いくつかのケースに分けて説明します。また、初診日ってなに? 初診日はいつ? と悩まれたら、ぜひご覧ください。

2.初診日って何? ― 初診日の定義

初診日とは、「障害の原因になった傷病で、初めて医師または歯科医師の診療を受けた日」 のことです。簡単に言えば、障害年金を申請しようとしている病気で、体調をこわし、初めてお医者様に診てもらった日のことです。

3.初診日はいつ? ― 初診日の具体例

初診日の具体例は、「障害基礎年金お手続きガイド」に、状況毎に、いつが初診日になるか、記載されています。

ご自身の場合、どれがあてはまるか、次の表で確認してみてください。

ケース     状  況    いつが初診日となるか
1.基本のケース ①障害の原因となった傷病について、現在かかっている医師または歯科医師にはじめて診療を受けた場合治療行為または療養に関する指示があった日
〃 ②同一の傷病で転医があった場合一番初めに医師または歯科医師の診療を受けた日
2.社会的ちゆのケース過去の傷病が治癒(社会復帰し、一定期間、治療の必要のない状態)し、同一傷病で再度発症した場合再度発症し医師または歯科医師の診療を受けた日
3.健康診断のケース健康診断で異常が発見され療養に関する指示を受けた場合健康診断日 ※このケースが認められるのは、ただちに治療が必要と認められる健診結果で、請求者から健診日を初診日とするよう申し立てがあった場合で、例外的取り扱い
4.傷病名が変更となったケース傷病名が特定しておらず、対象傷病と異なる傷病名であっても同一傷病と判断される場合(例:心因反応→うつ病)対象傷病と異なる傷病名の初診日
5.相当因果関係が認められるケース障害の原因となった傷病の前に相当程度因果関係があると認められる傷病がある場合最初の傷病の初診日
6.知的障害のケース先天性の知的障害出生日
7.その他の傷病で固有のケース ①じん肺症(じん肺結核を含む)じん肺と診断された日
〃 ②先天性心疾患、網膜色素変性症など日常生活や労働に支障をきたすような具体的な症状が現れはじめて診療を受けた日
〃 ③先天性股関節脱臼 ・完全脱臼したまま生育した場合出生日
〃 ④先天性股関節脱臼 ・青年期以後になって変形性股関節症が発症した場合発症後にはじめて診療を受けた日

解 説

1.基本のケース 

①項は一番オーソドックスな例です。初診日の定義通り、体調を壊し、初めて病院に行った日が初診日となります。

②項は、通院先の病院が、途中で変わっても、初診日はあくまで、一番最初の病院で医師の診療を受けた日であることを例示しています。

2.社会的ちゆのケース

「社会的ちゆ」は、医学的にちゆしていなくても、医師から通院しなくて大丈夫ですよといわれて、5年~7年程度、通院せず、服薬もせずに一定期間、就労などの社会生活が支障なくおくれるようになった状態を「社会的」に「ちゆ」したと考えるものです。

社会的にちゆした方の病気が再発し、再び、通院を開始した場合には、初診日は、再発後に通院を開始した日となります。

ポイントは、①社会的にちゆしていた期間と、②どのように社会生活をおくれていたか、つまり、社会的にちゆしていたと主張できる理由は何かです。

社会的にちゆしていた期間はおおよそ5年~7年程度必要と言われています。ただ、何年必要かは定められているわけではありません。

社会的にちゆしていたと主張できる理由は、発病前と同じように就労できていたとか、さらに、会社でプロジェクトのリーダーを任され成功に導いたとか、昇進したなどや、パートをはじめ数年間にわたり務めたとか、PTAや子供会の役員をやっていたとか、社会との接点を強調でき、社会生活をおくれていたことを納得性をもって説明できるものが必要です。

3.健康診断のケース

健康診断の日を、初診日として認めるかどうかについては、「障害年金の初診日を明らかにすることができる書類を添えることができない場合​の取扱いについて」 (平成27年9月28日). (年管管発0928第6号). (日本年金機構年金給付業務部門担当理事あて厚生労働省年金局事業管理課長通知)で、次のように記載されています。

第3 その他の初診日の取扱いについて 3.健診日の取扱いについて 初診日は、原則として初めて治療目的で医療機関を受診した日とし、 健康診断を受けた日(健診日)は初診日として取り扱わないこととする。 ただし、 初めて治療目的で医療機関を受診した日の医証が得られない場合であって、 医学的見地からただちに治療が必要と認められる健診結果である場合については、 請求者から健診日を初診日とするよう申立てがあれば、 健診日を初診日とし、健診日を証明する資料(人間ドックの結果など)を求めた上で、初診日を認めることができることとする。

健康診断の日が初診日となるケースは、限られた場合です。

4.傷病名が変更となったケース

精神の病気では、最初の診断から治療の過程で、病名が変わることはよくあります。

知的障害や発達障害と他の精神疾患がある場合、それぞれの病気を同一のものとするのか、別々のものとするのかの取り扱いが、平成23年7月23日付 【給付情2011-121】 「知的障害や発達障害と他の精神疾患が併存している場合の取り扱い」で示されました。

この通知で、精神の病気で傷病名が変わったときの取り扱いが明確になり、初診日がいつになるかも明確になりました。

下記表のは、その内容をわかりやすく(一部加工)しておりますので、表の下の解説とあわせてご覧ください。

表の(1)(2)(3)(4)のケースは、前発と後発の疾病は同一疾病となりますので、初診日は前発(最初に言われた病名)の初診の日になります。

(5)(6)(7)のケースでは、前発、後発の疾病は別々の疾病とされ、初診日はそれぞれの初診の日となります。

発達障害や知的障害と精神疾患が併発する場合の一例

発達障害や知的障害と精神疾患が併発する場合の一例

前発疾病  後発疾病  判定初診日
(1)うつ病
統合失調症   
発達障害診断名の変更であり同一疾病として扱う前発疾病の初診日    
(2)発達障害うつ病同一疾病前発疾病の初診日
発達障害神経症で精神病様態同一疾病前発疾病の初診日
(3)知的障害(軽度)発達障害同一疾患前発疾病の初診日
(4)知的障害うつ病同一疾患前発疾病の初診日
(5)知的障害神経症で精神病様態別疾患前発、後発それぞれの初診日
(6)知的障害 発達障害  統合失調症      原則「別疾病」 ただし、前発疾患の病態として出現している場合は同一疾患(確認が必要)原則「別疾病」のとき、 前発、後発それぞれの初診日
(7)知的障害 発達障害その他精神疾患別疾患前発、後発それぞれの初診日

(解説)

知的障害や発達障害と他の精神疾患を併発しているケースについては、障害の特質性から初診日及び障害状態の認定契機のついて次のとおり整理ますが、障害認定に当たっては、これらを目安に発病の経過や症状から総合的に判断されることと、なっています。

(1) うつ病又は統合失調症と診断されていた者に後から発達障害が判明するケースについては、そのほとんどが診断名の変更であるため、あらたな疾病が発症したものではないことから別疾病としないで、「同一疾病」として扱われます。

(2) 当初、発達障害と診断された者が、後からうつ病や神経症で精神病様態を併発した場合は、うつ病や精神病様態は、発達障害が起因して発症したものとの考えが一般的であることから「同一疾病」として扱われます。

(3) 知的障害と発達障害は、いずれも20歳前に発症するものとされています。知的障害と判断されたが障害年金の受給に至らない程度の者が、後から発達障害が診断され障害等級に該当する場合は、原則「同一疾病」として扱われます。

例えば、知的障害は3級程度であった者が社会生活に適応できず、発達障害の症状が顕著になった場合などは「同一疾病」とし、事後重症扱いとされます。

なお、知的障害を伴わない者や3級不該当程度の知的障害がある者については、発達障害の症状により、はじめて診療を受けた日を初診とし、「別疾病」として扱われます。

(4) 当初、知的障害と診断された者に後からうつ病が発症した場合は、知的障害が起因して発症したという考え方が一般的であることから「同一疾病」とされます。

(5) 当初、知的障害と診断された者に後から神経症で精神病様態を併発した場合は「別疾病」として扱われます。

ただし、「統合失調症(F2)」の病態を示している場合は、統合失調症が併発した場合として取り扱い、「そううつ病(気分(感情)障害)(F3)」の病態を示している場合は、うつ病が併発した場合として扱われます。)

(6) 当初から発達障害や知的障害である者に後から統合失調症が発症することは、極めて少ないとされていることから原則「別疾病」とされます。

ただし、「同一疾病」と考えられるケースとしては、発達障害や知的障害の症状の中には、稀に統合失調症の様態を呈すものもあり、このような症状があると作成医が統合失調症の診断名を発達障害や知的障害の傷病名に付してくることがありますので、このような場合は、「同一疾病」とされます。

5.相当因果関係が認められるケース

(1)相当因果関係とは

障害年金の場合の「相当因果関係」は、後の疾病と、前の疾病または負傷の間の因果関係のことを言います。

後の疾病と、前の疾病または負傷の間で、「相当因果関係」が認められれば、前の疾病または負傷と後の疾病はひとつの固まり(ひとつの保険事故)として扱われ、前の疾病または負傷の初診日が、ひとつの固まりの初診日とされます。

前発の疾病または負傷 <― 相当因果関係 ―> 後発の疾病

(初診日)                                         注)後発に負傷は含まれない

たとえば、糖尿病が原因で糖尿病性網膜症になった場合、糖尿病性網膜症の初診日は、糖尿病で初めて医師の診療を受けた日になります。また、事故や脳血管疾患が原因で精神障害になった場合なども、事故や脳血管疾患の初診が初診日とされます。

  (前発)                   (後発)
糖尿病  <――― 相当因果関係 ―――>  糖尿病性網膜症
↑ 
(初診日)

これは非常に重要な考え方です。

なぜなら、ご自身で思っていた初診日が実は本当の初診日ではなく、それよりも前にあるかも知れないということです。ご自身で思っていた初診日では保険料納付要件を満たせないけれど、その前に因果関係が認められる病気やケガで医師の診療を受けたことがあり、保険料納付要件が認められることもあるからです。

たとえば、そうして見直した初診日が20歳前であれば、もともと保険料納付要件は問われず、障害年金を受給できる可能性も出てきます。

5.相当因果関係が認められる傷病の例

前の疾病や負傷と後の疾病の間で、相当因果関係があるとされる場合について、障害基礎年金お手続きガイド(厚生労働省)より紹介いたします。

複数の傷病が同一と扱われることが多い具体例(関係「⇒」:相当因果関係がある)

傷病名(A)関係 傷病名(B)
糖尿病糖尿病性網膜症 糖尿病性腎症 糖尿病性壊疸(糖尿病性神経障害、糖尿病性動脈閉鎖症)
糸球体腎炎(ネフローゼを含む) 多発性のう胞腎 慢性腎炎慢性腎不全
肝炎肝硬変  
結核聴覚障害(化学療法の副作用)  
輸血の必要な手術肝炎(手術等による輸血)
ステロイド投薬が必要な傷病大腿骨頭無腐性壊死
事故による傷病 脳血管の傷病左記傷病による精神障害
肺疾患呼吸不全(肺疾患の手術ののち)
転移性悪性新生物: がん(はじめてなった部分にかかるもの)転移性悪性新生物: 原発とされるものと組織上一致、または転移であることを確認

 障害基礎年金お手続きガイド ― 厚生労働省より

(3)相当因果関係が認められない傷病の例 

同一の傷病と間違えやすい傷病の具体例(関係「×」:相当因果関係がない)

傷病名(A)関係傷病名(B)
高血圧×脳出血 脳梗塞
近視×黄斑部変性 網羅剥離 視神経萎縮
糖尿病×脳出血 脳梗塞

  障害基礎年金お手続きガイド ― 厚生労働省より

上記のように、脳出血や脳梗塞と高血圧の間には相当因果関係は認められません。医学的に因果関係はありそうでも認められないので注意が必要です。

なお、うつ病で飛び降り自殺をはかってケガが残るケースでは、相当因果関係の考えに、後発が負傷の場合は含まれませんので、うつ病とケガの間に相当因果関係は認められません。

この場合、うつ病とケガを分けて関係を考えるのではなく、ケガをうつ病そのものによる障害ととらえ、初診日はうつ病の初診日と考えます。

これらの、傷病名が変更となったケース、相当因果関係が認められるケース以外にも、

(前発)頭痛や胃痛などの身体症状、(後発)うつ病 では、前発を後発の前駆症状ととらえたり、

(前発)社会不安障害、(後発)うつ病 では、後発を2次障害ととらえるなどして、

前発、後発を一つの固まりとみて、前発を初診日とできるケースも多々あります。

ただし、前発、後発の病気の連続性や因果関係については、診断書を記載いただく医師に確認しながら進めることが必要になります。

初診日がどこにあるかで、障害年金が受給できるか、できないか、障害基礎年金の対象化、障害厚生年金の対象かが決まります。

ご不明な点、ご相談したい点のある方は、ぜひ社労士に一度ご相談ください。

次回のブログでは、初診日の証明がとれないとき、どうすればよいかについて説明します。

SHARE
シェアする

ブログ一覧

ページの先頭へ