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障害年金、傷病手当金の受給のため退職前に必要なこと

退職 後に、 障害年金 、傷病手当金 を受給するためには、 退職 前に病院を受診し、労務不能による4日間の休暇が必要です

体調が悪化し、退職を予定されている方は、必ずこのブログをお読みください。

病院にかからないまま退職してしまうと障害厚生年金は受けることができません。
また、病院を受診しても、労務不能による連続した3日間の休暇と、さらに労務不能による1日の休暇をとらずに退職してしまうと、健康保険の傷病手当金を受給できなくなってしまいます。

1.障害厚生年金を受給するために

障害厚生年金の支給を受けるためには、次の3つの要件をみたす必要があります。

第一に、初診日に厚生年金保険の被保険者であること
第二に、障害認定日に障害の程度が決められた障害の程度に該当すること、
第三に、初診日の前々月までの1年間に未納がないこと、または納付済と免除期間を足した期間が被保険者期間の3分の2以上あること

退職後に障害厚生年金を受給をしたい場合、第一の要件をみたすため、厚生年金保険に加入中、つまり退職前に病院を受診しなければなりません。

退職後に初めて病院を受診しても、初診日には厚生年金保険の被保険者ではありませんので、その病気で障害厚生年金を受給することはできなくなります。

この場合は、国民年金の障害基礎年金の対象となります。

ですから、身体や精神の不調で退職することになったときは、会社を辞めて落ち着いてから病院に行こうと考えずに、まず、病院に行って退職はその後ですので、この順番を間違わないようにしてください。

では退職の何日前までに病院に行けばよいのでしょうか。

障害厚生年金だけ考えれば、退職前に受診できればよいのですが、健康保険から支給される傷病手当金と関係しますので、”2.健保 傷病手当金を受給するために”で説明いたします。

なお、障害厚生年金を受給するためには、上記の第二、第三の要件を満たすことも必要です。

障害厚生年金と障害基礎年金の支給内容の違いについて、簡単に説明します。

障害厚生年金 ・障害の程度に応じ1級、2級、3級、障害手当金がある。
・配偶者の加給年金が加算される。
・1級、2級の場合、障害基礎年金もあわせて受給できる。
障害基礎年金・障害の程度に応じて、1級、2級がある。
・子の加算がある。
(障害厚生年金にある、3級、障害手当金はない)

比べてわかるように、障害厚生年金には、3級と障害手当金(一時金)があり、カバーされる障害の程度が広く、さらに1、2級の場合は、障害基礎年金もあわせて受給できるので、受給できる金額が多くなります。

退職前の厚生年金保険の被保険者である間に必ず病院を受診しないと、障害厚生年金が受給できなくなり、受給できる金額も減りますので、くれぐれもお気をつけください。

図 障害厚生年金と障害基礎年金
図 障害厚生年金と障害基礎年金

2.健康保険の 傷病手当金 を受給するために

傷病手当金 は、病気やケガで療養のために働けないときに健康保険(被用者保険)から支給される制度です。

支給は、連続3日間の労務不能による休業(待機期間)を経て、4日目の休業日から1年6カ月の間行われます。

支給される金額はおおよそ給与の3分の2程度となります。

なお、条件をみたせば、退職してからも継続して受給できます。

障害年金の申請ができるのは初診日から原則1年6カ月たってからですので、ちょうど、この間をうめるためにも傷病手当金は重要な生活保障です。

法律上は、
① 在職中(被用者保険の被保険者)の方がもらう 傷病手当金 、
② 在職中に傷病手当金の支給を受けていた、または受けられる状態になった方が、退職 後にもらう 傷病手当金
は、別ものとして定義されています。

今回のブログでは、②の 退職 後の 傷病手当金 を受給できるようにするために、退職前に必要なことについて説明します。

図 傷病手当金の概要
図 傷病手当金の概要

退職 してからも、 傷病手当金 を受給するためには、

ポイント1    被保険者期間が、切れ目なく継続して、1年以上あること
※ 健康保険の被保険者期間が、退職前の会社と今回退職を予定している会社の間1日も切れ目がない場合は通算できます
ポイント2在職中に医師に診療を受け、労務不能の診断書の入手が可能であること
ポイント3医師の診療後、労務不能による連続3日の休業(待機期間)を終えていること(医師の診療日を含む)
※ 労務不能による連続3日の休業には、年次有給休暇、会社の公休日を含む
ポイント4退職までに労務不能による4日目の休業がある
ポイント5退職日に出勤していない

が必要です。

なお、連続3日間の休業の起算日(最初の日)ですが、就業後に事故が発生したような場合には、その日は起算日に含まないのでご注意ください。この場合は事故の翌日が起算日になります。

この労務不能による3日間の休業は、年次有給休暇で処理した場合や会社で定められた公休日(公休日とは、一般的に土、日、祝日、年末年始など)が含まれていても3日にカウントされます。

退職後に傷病手当金を受給するためには、退職前に、病院に行き、労務不能で3日間休業し、支給が開始される4日目の休業日も在職中で、1日でも傷病手当金を受給していること、もしくは受給できる状態になっていることが必要です。

上記のポイント1から5に注意して、傷病手当金の受給も可能にしてください。

また、退職後に1日でもアルバイトをして労務不能でなくなった場合は、その後は受給できませんのでご注意ください。

なお、受給できる金額は、標準報酬月額(直近 12 か月)を平均し、30 分の1(日額)にした額の3分の2が日毎に支払われます。
おおよそ、月額で、退職前1年間の給与の平均の3分の2程度です。

具体的な手続きは、退職前に余裕をもって、会社の健康保険組合にご相談ください。

図 資格喪失後の傷病手当金が受給できるケース
図 資格喪失後の傷病手当金が受給できるケース
図 資格喪失後の傷病手当金が受給できないケース
図 資格喪失後の傷病手当金が受給できないケース

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