眼の障害の障害認定基準の見直しを検討
1.障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合が開催
令和3年4月30日 障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合(第1回)が開催されました。
今回の専門家会合では、眼の障害(視力障害、視野障害)に関する障害認定基準の見直し、眼の障害用の診断書様式の見直し等について、検討されることになっています。
今回の専門家会合では、平成24年の専門家会合において検討課題とされた内容と、すでに平成30年7月1日から改正された身体障害者福祉法における視覚障害の身体障害認定基準を参考とし、障害認定基準の見直しが検討されると考えられます。
なお、第2回専門家会合は 5月 27 日 に行われ、 認定基準 ・ 診断書の見直し案がとりまとめられる予定です。
当専門家会合は、5名の専門家により構成されています。
次に、眼の障害認定基準の見直しが検討される内容について紹介します。
2.眼の障害認定基準の見直し内容
1.視力障害
(1)視力の評価を、両眼の視力の和から、良い方の眼の視力に変更
現在は、両眼の視力の和(1級、2級)で評価されていますが、良い方の眼の視力で評価されるように変更が検討されます。
現在の基準では、良い方の眼の視力は悪くても、両目の視力の和が大きい場合、等級が低くなってしまいます。そのため、今回の変更により、日常生活の不便さが適正に評価されるようになることが期待されます。
たとえば、現在の認定基準で、1級は「両眼の視力の和が、0.04以下のもの」とされていますが、右眼 0.02、左目 0.03の場合、両眼の視力の和は 0.05となってしまい、1級には該当しませんでいた。
今回の変更(案)では、1級は「①良い方の眼の視力が 0.03 以下のもの、または、 ②良い方の眼の視力が 0.04 かつ他方の眼の視力が手動弁以下のもの」となり、1級に該当することになります。
2.視野障害
(1)自動視野計による認定基準を追加
現在のゴールドマン型視野計による認定基準に加え、自動視野計による認定基準が追加されます。
(2)症状限定をやめ、測定数値が基準をみたせば障害認定
現在、視野障害は求心性視野狭窄又は輪状暗転があるものと、認定される対象の症状が限定されていましたが、症状を限定することをやめ、中心視野消失による視野障害も含めて評価されるようになります。
そのため、病気の進行により、中心視野を消失したために等級が軽くなるという矛盾が解消されることが期待されます。
(3)ゴールドマン型視野計による評価の変更
両目の視野の評価基準が変更されます。
現 行 | 変 更 案 | |
周辺視野 (Ⅰ/4)の評価 | 視野が中心10度以内に おさまるか評価 | 周辺視野角度の総和 |
中心視野 (Ⅰ/2)の評価 | 視野角度の大きい方の眼の 中心10度以内の視野角度 | 両眼中心視野角度 |
(4)自動視野計による評価基準の記載追加
(5)視野障害にも1級、3級を規定
従来、基準が規定されていなかった1級と3級に障害の程度を規定
変更(案)の詳細については、
厚生労働省の 障害年金の認定(眼の障害)に関する専門家会合 の記事をご覧願います。