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障害年金の申請 を依頼すると社労士は何をしてくれるのでしょうか

ケース3 障害年金の申請 を依頼すると社労士は何をしてくれるのでしょうか

花子さんは、障害年金を自分で申請 することも考えましたが、何回も年金事務所に出かけて手続きを進めるのは大変そうなので、社労士に依頼してみようと考えています。

障害年金の申請 を依頼すると社労士は何をしてくれるのでしょうか

今回は、社労士事務所クローバーの例で説明します。

最初に、社労士に依頼してから実際に年金がご本人の口座に振り込まれるまでの期間について説明します。

1.障害年金の申請 の依頼から年金が振り込まれるまで

社労士に申請を依頼してから障害年金の振込までに必要な期間はおおよそ8カ月程度です。
その期間は大きく次の3つの期間に分けられます。

  Ⅰ. 依頼から申請まで  ・・・ 約3カ月
  Ⅱ. 申請から決定まで  ・・・ 約3カ月
  Ⅲ. 決定から年金振込まで・・・ 約2カ月

2.障害年金の申請 を依頼された社労士は何をする か

Ⅰ. 依頼から申請までの期間

依頼から申請までの期間で、社労士が申請のために行う内容は次の8項目になります。

 (1)初回のご相談、契約
 (2)初診日の確認
 (3)保険料納付要件の確認
 (4)病歴・通院歴の確認
 (5)受診状況等証明書の取得 
 (6)医師へ診断書作成の依頼
 (7)病歴就労状況等証明書の作成
 (8)年金請求書の提出

なお、年金事務所または役所での対応はすべて社労士が行います。

それぞれの内容は下記の通りです。

(1)初回のご相談、契約

電話でご相談いただいた方で、詳しくご相談を希望される方、社労士に手続きの依頼を検討されている方には面談のお約束をします。

面談の場所は相談者の方のご都合に合わせて落ち着いてお話ができる場所を選びます。小職の場合はファミリーレストランを利用することが多いです。また外出が困難な方の場合はご自宅に伺います。

初回のご相談時には、次のことを確認します。

 ①初めて病院にかかった頃の状況(加入していた保険、就労していたかどうか、勤務先、日常生活の状況、保険料の納付の状況)
 ②通院歴(今まで通院した病院とそれぞれの時期)
 ③現在の状況(就労状況、日常生活の状況)他

お聞きした内容から次の情報を整理し、受給の可能性等を検討します。

 ①初診日
 ②障害年金の請求にあたっての課題
 ③受給の可能性
 ④障害等級の想定
 ⑤請求方法(さかのぼれるか、さかのぼれないか)

そして相談者の方と、受給の可能性等を共有し、請求方法等を相談します。

これらの答えはすぐに出ないこともあります。そのときは、カルテの開示請求を行ったり、医師と相談しながら、答えを出していくことになります。

当事務所で大事にしているのは、受給がきわめて難しいと思われる方でも、申請して結果を出したいと思われる方に対して、できるかぎりご要望にもお応えするようにしていることです。

なぜなら、障害年金の申請を希望される方の中には、いままで病気が原因で苦労されたことをちゃんと認めてもらいたいと思われている方が少なからずいるからです。

ご相談を進める中で、契約をご希望される方は契約に進み、年金事務所あて、医療機関あての委任状をいただくことになります。

契約いただいた後、依頼された方は、一切、年金事務所(または市・区役所)に、申請手続きのために出かける必要はありません。すべて社労士が行います。

ただし、ご本人でないとわからない通院歴や、ご本人から直接依頼がないとダメと言われる医療機関への問い合わせなどは、その都度社労士からご本人様にお願いすることがあります。

・ご契約について

契約の際は、契約書に基づき、依頼を受けて行う内容、料金をいただく対象、お支払いいただく時期と方法について説明します。
後日、内容について忘れてしまっても、必要なことは契約書を見ればわかるようにしてあります。
ご家族と相談したい、少し考えたい方には、後ほどお返事をいただくようにしています。

・委任状について

委任状は、医療機関あてと年金事務所あてのものをいただきます。
医療機関あてについては、初診日の確認や初診日の証明書(受診状況等証明書)の取得、通院歴の確認に必要になります。
年金事務所あてのものは、社労士が、依頼者の代理人として、保険料納付要件の調査、公的年金の加入記録の調査、年金請求書の提出などを行うために必要です。

(2)初診日の確認

契約をして委任状をいただくと、最初に初診日の確認を行います。ご本人が覚えている場合でも、必ずその医療機関に前医の有無を確認します。医療機関で受診状況等証明書を書いていただき、前医ありとなっていたら、初診日が変わってしまうからです。

初診日は障害年金の請求においてきわめて重要な日です。

それは、次の3つの理由によります。

(理由1)初診日に加入していた保険(厚生年金保険、共済組合、国民年金)によりもらえる年金が異なります。

 ・初診日が国民年金に加入中のときは障害基礎年金の対象
 ・厚生年金保険に加入中のときは障害厚生年金の対象

(理由2)初診日を基準にして、保険料の納付要件をみたしているかどうかが判定されます。

 保険料がきちんと払われていたかどうかの確認は、初診日の前日の時点で、初診日の月の前々月までの納付状況が確認されます。
 

(理由3)障害の程度が認定される日が決まります。 

 初診日から1年6カ月過ぎた日が、原則として障害の程度を定める日(障害認定日)になります。

初診日は医療機関に受診状況等証明書を発行してもらい証明します。

ところが、病歴が長くなると廃院やカルテの廃棄が原因で受診状況等証明書を作成いただけず、初診日の証明ができないことがあります。

そのようなときは、診療科と通院日が書かれた診察券や受診時のレシート、お薬手帳など、初診日を客観的に証明できる資料を探したり、その裏付けとなる第三者による証明書の提出をします。

また、5年以上前の本人申し立ての初診日の記録が、医療機関に残っている場合は初診日と認められるので、2番目以降の病院にそのような記録が残っていないかを調べます。

初診日の確認方法は大分緩和されましたが、まだまだ厳しいものがあります。病歴が長くなると、おひとりで手続きされる場合、初診日の確認は大変な作業です。

初診日がわかっていない場合、依頼を受けない社労士もいます。

この他にも、

 ①複数傷病のときには、傷病間に因果関係があり初診日はひとつか、それともそれぞれの傷病は因果関係のない傷病で初診日はそれぞれ異なる日か
 ②長期間通院せずにいたが再発して病院にかかった場合、社会的ちゆを主張し、初診は再発時と考えられるか
 ③関連する病気で20歳前に通院したことがあり、初診日は20歳前にならないか

などを確認します。

(3)保険料納付要件の確認

初診日がわかったら、保険料納付要件を年金事務所で確認します。

年金定期便の情報等をもとに、調査した初診日で保険料の納付要件を満たせそうかあらかじめ確認しておきます。

(4)病歴・通院歴の確認

体調をこわしたのはいつ頃で、その時どんな状態で、初めて行った病院はどこだったか、その病院で診断された病名、通院の期間と頻度、治療の内容、処方された薬、入院の有無と期間等について調べます。

転院があればその後の通院先も同様に調べます。

ご本人にお話しを聞いたり、病院に問合せをします。その際には前医についても教えていただきます。

同時に教育歴、入社、退職、休職、復職などの就労歴を本人から聞き取らせていただきます。

過去の勤務先などは、厚生年金の事業所にお勤めだった場合、年金事務所で年金の加入記録の照会を行えばわかります。

(5)受診状況等証明書の取得

初診の病院に初診の証明になる「受診状況等証明書」の作成を依頼します。

遠方で直接訪問できない病院でも、その旨を電話で伝え、受診状況等証明書作成依頼と用紙を郵送で送付して依頼いたします。

概ね3週間程度で作成していただけます。

(6)医師へ診断書作成の依頼

医師に診断書の作成を依頼するときは、診断書の作成依頼書を作り、ご本人の診察日に同行させていただき、その内容を説明の上、作成を依頼いたします。

診断書に記載いただきたい日常生活の状態はすべて作成依頼に記載しておきます。

障害年金の審査は対面ではなく、書類審査で行われます。

そのため、本人の状態を過不足なく診断書に記載していただかなければ、審査をする認定医には伝わりません。

普段の診察の時に、日常生活で困っていることを担当医の先生に伝えられているでしょうか。

例えば、精神で通院されている方の場合、通院時には身ぎれいにして、先生との応対もいつになくがんばってしまえば、先生が普段の日常生活の様子を理解するのは難しそうです。

日常の様子が、上手に伝わらないと診断書は実態より軽いものになってしまうかも知れません。

そこで、社労士はご本人とご家族から普段日常生活でできなくて困っていることを細かく聞き取り、具体的な事実を記載して資料にまとめ、診断書作成の際にご覧いただけるように担当医の先生にお渡しします。

診断書の項目のうち必ず書いていただく必要のある項目についても漏れのないようお願いします。

教育歴や就労歴など診断書に記載の必要な項目についても参考につけておきます。

(7)病歴就労状況等証明書の作成

診断書は依頼すると出来上がるまでに3週間程かかります。

その間に病歴・就労状況等申立書の準備をします。この申立書は、病歴(通院歴)、就労の状況、日常生活の状況を、初診から3年から5年の単位に区切ってまとめ、記入します。

この申立書では、日常生活で何ができなくて、どう困っているかを申し立てます。

この申立書はご本人自身のことを申し立てるものなので、ご本人に聞き、聞いた内容をまとめて代筆します。過去のことを思い出さなくてはならず、ご本人にとっても精神的に辛い作業になることもあります。

診断書が入手できたら、準備を進めておいた病歴・就労状況等申立書との整合性を確認し、完成させます。

(8)年金請求書の提出

年金請求書を完成させます。

提出時には下記のものを揃えます。何が必要になるかは請求者により異なります。

・年金請求書
・受診状況等証明書
・診断書
・年金手帳(本人)
・年金手帳(配偶者)
・子供の学生証(18歳年度末前の子のあるとき)
・戸籍謄本
・年金振込先の通帳の振込先口座のわかるページのコピー
・身体障害者手帳
・精神保健福祉手帳

Ⅱ. 申請から決定までの期間

この期間は日本年金機構の審査の期間です。

申請したあとは、決定を待ちます。追加で資料の提出の要求がある場合には、早めに対応します。
審査が通り、年金の受給が決定すると、年金証書のついた年金決定通知書が送付されてきます。一方、却下や不支給となった場合は却下や不支給決定の通知書が送付されてきます。

Ⅲ. 決定から年金振込までの期間

この期間は、受給が決定した後の日本年金機構での振込手続きの期間です。

年金決定通知書が送付されると2カ月以内には、年金の振込み額を通知した書類が送付され振込となります。
年金額は、要件に該当する限り、毎年1年間に支給される合計金額です。実際の支給は、2月、4月、6月、8月、10月、12月の偶数月の6回に分けて、それぞれの月の15日に2カ月分ずつ振り込まれます。

以上が申請手続きで依頼を受けた社労士が行う作業です。

おひとり、おひとり病気や病歴も異なりますので、社労士はその都度勉強しながら対応しております。

なお、最初の請求で受給が難しいと思われる方の場合は、審査請求、再審査請求まで進んだときのことを考えながら、提出資料も準備しております。

3.依頼すると社労士はなにをしてくれるかのマトメ

依頼を受けた社労士は、申請に必要な手続きをすべて行います。依頼者の方は、年金事務所、市役所に出かける必要はありません。

初診日を探し、通院歴を整理し、初診から現在までの記録を整理します。また、日常生活の状態をご本人、ご家族から聞き、診断書に正しく反映いただけるように医師に依頼いたします。

社労士に依頼することで、作業は楽になります。良い点はそれだけでしょうか。
社労士に依頼した場合の付加価値は、経験から、何を診断書に記載いただかなければならないか、理解していること。種々のケースへの対応策の知識のあることです。

少しでも手続きで不安があったら、社労士に一声かけて相談してみてください。

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