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働くことで障害年金は止まりますか(精神障害の方の場合)

ケース1 働くことで障害年金は止まりますか (精神障害の方の場合)

太郎さんは、うつ病を発症し会社をやめ、現在は障害年金を受給しています。最近になって症状も少し落ち着いてきたので障害者雇用枠で働きたいと思っています。

ただ、働き始めたら障害年金が止まってしまうのではないかと心配です。

実際、このような心配に対して多くのご相談があります。

働くと障害年金はとまってしまうのでしょうか。

働いていることだけが理由で障害年金がとまることはありません。どんな仕事を、どのように働いているかで判断されます。

ポイント1 働いても次回更新までは支給は止まらない

現在、働いていたとしても、次回の更新までは障害年金の支給は継続されます。

更新の際に障害の程度について審査され、障害の等級が上がるか、下がるか、変わらないか、それとも停止されるかが決定されます。

一時的に改善したと感じても、働いて環境の変化でストレスがかかり、再発することもあります。障害年金を受給するまでに、再就職、離職を繰り返された方も多いと思います。

働くことにした場合でも、次回の更新までは様子を見ながら少しずつ慣らしていく期間、もしくは働き続けられるか試す期間と考えれば良いのではないでしょうか。

ポイント2 通院の時、担当医の先生に日常生活や職場で困っていることを伝えておく。

通院の際に、担当医の先生に普段の生活で困っていることを伝えられているでしょうか。

あなたから先生にお話しした内容は、担当医の先生が更新時の診断書を書く際に、日常生活の様子を判断する上で重要な情報です。

たとえば、家でいらいらして家族にあたってしまう、暴力的な行動をとってしまう、消えてしまいたい、死んでしまいたいと思う、気持ちが落ち込んで寝たきりだった、また、自傷行為をしてしまった等々や、それはどんな時におきたとか、仕事に関しても、指示されたことが覚えられない、メモして、あとで見返してもその内容を思い出せない、また、体調が悪く1週間仕事を休んだなど、生活で困っていることを診察の際にできるだけ具体的にお話ししておきましょう。

診察の時間が短く、なかなかうまく伝えるのが難しければ、メモをしておき、先生に伝えられるようにしましょう。

お話ししたことはカルテに残り、更新の診断書を作成していただく際の貴重な情報になります。

ポイント3 更新時に働いている場合、障害の程度が軽快したかどうかは働き方で審査される。

障害年金は、病気が原因で障害が残り、日常生活や就労に影響が出たときに障害の程度に応じて支払われる公的年金です。

それでは、更新のときに働いている場合、この“就労への影響”はどのように判断されるのでしょうか。

「障害認定基準」 第3 障害認定にあたっての基準 第8節 精神の障害では、

「労働に従事していることをもって、直ちに日常生活能力が向上したものと捉えず、現に労働に従事している者については、その療養状況を考慮するとともに、仕事の種類、内容、就労状況、仕事場で受けている援助の内容、他の従業員との意思疎通の状況等を十分確認したうえで日常生活能力を判断すること。」

とあります。

働いているからとの理由だけで、良くなったと考えずに、どんな仕事を、どのような援助を受けながら、どのように働いているか、また、突発の休みや早退などないかなど、具体的に状況を把握した上で判断しなさいということです。

たとえば、週に5日間、1日に働く時間は短くても休まず出勤できていれば、精神的なストレスが原因で休んだりせずに働ける状態だと判断されるでしょう。

それに対して、同じように週に5日間の勤務だけど、何ごとにも気力が出ず、一日中寝ていることが2~3日続くことが月に2回ほどあり、突発的に休みをもらっている。このような状態だとしたら、休まずに出勤できる状態と比べ、本格的に改善したとまでは言えませんよね。

仕事の内容も、お客様と接する仕事をしているとなれば、コミュニケーションの問題はないと思われるでしょう。一方で、職場の上司の配慮で、お客様はもちろん同僚ともコミュニケーションをとらなくてもよい、決められた作業の仕事についている場合は、仕事の仕方から他人との意思疎通が難しいということが言えます。

また職場の指導員の方に、どのように指示をもらって働いているかもポイントになります。

ほぼ休まずに出勤でき、周囲の職場の方ともコミュニケーションが取れれば、症状は軽快したと判断され、障害年金の級落ちや停止も考えられます。

このように、どんな仕事を、どのような援助を受けながら、どのように働いているか、具体的に判断されます。

ポイント2でお話ししたように、これらの仕事の様子についても担当医の先生にお伝えしておくことが重要です。

ポイント4 障害年金の支給がとまったら、不服申立ができる

万が一更新で障害等級が下がったとき、または支給が止まってしまったとき、その結果に不服がある場合は、通知を受け取った日から3カ月以内に審査請求を行います。

更新で等級がさがったが、その後に障害の程度が重くなったときは、「額改定請求書」を提出します。審査日の1年後から提出ができます。

また、支給が停止され、その後、再び障害の程度に該当したときは、支給停止の理由がなくなったことを届け出る「支給停止事由消滅届」を提出します。

ここまで見てきたように、働いていることだけが理由で障害年金がとまることはありません。どんな仕事を、どのように働いているかで判断されます。就労にあたっては担当医の先生の意見を聞きながら進められることをお勧いたします。

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